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ニコニコしてお金を出せるお茶を 〜黄金みどり茶園 後編〜

佐藤さんはかなりのアイデアマン。テレビ番組「ポツンと一軒家」に取材されたこともあるこの家、そして茶農家という家業を守りたいと、人とは違う着眼点と哲学で道を切り開いてきました。


ワークショップが土地の魅力を見直すきっかけに

最初からこの絶景のテラスを作ろうと思っていたのですか?

佐藤浩光さん(以下「佐藤」)
茶農家をしていると、段々とお茶業界が冷え込んできたのを肌身で感じて、「このままじゃまずいな、何かしなきゃ」という思いがありました。幸い周りに恵まれて、企画を立ててくれる人が現れたりして10年以上前からお茶摘み体験をしてみたり、コンニャクを作ってみたり、ワークショップ的なものを開催してきたんです。その時みんな、ここに来て感動してくれるもんだから、標高550mのこの土地で、本格的に観光的なことができないかなと考えたのが始まりです。このテラスを一緒に考えてくれた人たちと、もう、夢中になってね。

「黄金みどり」の茶畑もきれいなのですが、視線の高さが山なみと合う、この眺めも素晴らしいです。眺めを堪能しながらお茶をいただけるのですね。

佐藤
そうです。諸子沢のこの場所と、「黄金みどり」という黄色いお茶で何ができるか、いろいろと試行錯誤してきました。この苗を親父と増やして、30余年掛けて黄金色の茶畑を作りました。「黄金みどり」は、製品としては煎茶とほうじ茶、GABA茶と釜炒り茶もあります。

煎茶以外を作ったのはなぜですか?人とは違った戦略を立てようと思ったからですか?

佐藤
違います。「黄金みどり」をこれだけ増やしたのって、うちだけじゃないですか。競合先がないから、ビジネス用語でいうとブルーオーシャンなんだけど、ブルーオーシャンって相談相手がいなくて孤独なんです(笑)。売り先の開拓も自分一人でしなくちゃならない。だから、煎茶だけを作るより、いろいろなお茶に加工してある方が、リスクが分散すると思ったんです。いろいろ試しましたよ。烏龍茶はお茶の性質と合わなかったので、製品化は取りやめたんですが、ほうじ茶はすごくよく合って、本当においしいんです。甘くて香りがいいのが特徴です。

黄金みどり ほうじ茶

焼き芋を燻したときのような芋感や、干し草のような香りが特徴で、コーヒーを飲むシーンで美味しくいただけるほうじ茶です。水色は黄金茶色で、まさに黄金みどりの特徴をふんだんに感じます。

品種:黄金みどり
クラフト:火入れ/ほうじ
ブレンド:ストレート
ジャンル:ほうじ茶

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黒と黄以外のお茶は全部作った

佐藤さんは他社のお茶を買ったりもしますか?

佐藤
研究用に買ったりします。烏龍茶はよく作るから、3g3,000円くらいのお茶を試しに買ってみたり。高価なお茶を飲んでみると、自分の作っているお茶のランクがどの辺なのか、よく分かるし。

今、ランクはどの辺なんですか?

佐藤
そんなの、自分の口からは言えないよ(笑)!それはお金を出して、買ってくれる人が判断するものだと思うし。でも、研究の材料にしつつも、半分は楽しみで高級なお茶を買っているところはあります。やっぱ、少しでもいいやつに近づけたいじゃんね、自分のお茶を。僕としては、お金を出す人がニコニコして買えるものを作りたいわけ。「おいしいなあ」って心から思って、「多少高いけど買っちゃうか」ってニコニコしてお金を払ってくれるようなお茶がいいと思っています。いろいろな品種でいろいろな製品を作っていて、黒(プーアール茶)と黄(後発酵茶)以外は全部あるかな。

もう1台、車が来ましたね。

佐藤
ああ、親父とおふくろです。毎日ここに来て、農作業をしているから。今、親父は古い茶の木をこいで(抜いて)いると思います。

お父さんは今も現役なんですね!

佐藤
そうです。おふくろは下の集落からお嫁に来て、一緒にお茶をやっています。

お父さん
よく来たね、あんたっち、静岡の人?遠くからもよく来るんだよ。

お母さん
すごいところまで来てくれてありがとうね。

最後の仕上げは絶景を見ながらの足湯

佐藤
もしよかったら足湯にも入っていってください。

足湯もあるんですか!?

佐藤
作りました。せっかくここまで来てくれるから足湯にも浸かったりして、のんびりとしてほしくてね。すごく気持ちいいよ。お茶を飲んで、ゴロンと横になって、足湯に浸かって。冬はこたつも用意しています。

いたれりつくせりのおもてなしを、ありがとうございました。足湯が最後の総仕上げ、悩みごとや煩悩から、ゆっくり解き放たれていきます。リラックスしているのに、五感が研ぎ澄まされて感覚が繊細になる、素敵な癒やしの場でした。

取材・文/朝比奈 綾 撮影/近藤ゆきえ

イチオシポイント

言わずと知れた「黄金みどり」。そして…

山なみと「黄金みどり」の茶畑を見渡すテラスは最高のイチオシポイントですが、それ以外にも魅力がたくさんあります。まず、唯一無二の「黄金みどり」を、その場で淹れて味わえること。烏龍茶からGABA茶まで、種類豊富なラインナップから、説明を聞いた上で購入できること。佐藤さんのお茶作りの哲学が聞けること。「うちのイチオシポイントは独創性かなぁ」という言葉通り、他の人と同じであることを良しとしない佐藤さんだからこそ、最高の舞台にふさわしい、精魂込めたお茶が生まれたのです。「買う人がニコニコしてお金を払うお茶」という目標には、ストイックな向上心が見え隠れしています。

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静岡の山あいに、突如現れる小さな黄金色の茶畑。目にも鮮やかな黄金色の葉が特徴の言わずと知れた「黄金みどり」。独創性から生まれた、最高の舞台にふさわしい、精魂込めた唯一無二のお茶。
ご自宅用はもちろん、贈り物にもとてもおすすめです。

黄金みどり茶園

静岡県静岡市葵区諸子沢219

054-291-2423

標高550mから茶畑を見渡すテラスはまさに絶景です。受付で水出しの「黄金みどり」が入った水筒を受け取り、非日常へ出発しましょう。

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