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遺志を継いで、皆に愛されるお茶を。 〜望月茶園 前編〜

複数回の品評会受賞を経て、今は、「お客さま主体のお茶づくり」へと舵を切った望月茶園。茶園を大切にし、勉強熱心な造り手である望月政治さんと、SNSでもお客さまとの対話を大事にする望月瑞歩さん。ふたりが話す「山のお茶」、そこにある思いとは。


品評会受賞経験もある茶園

はじめまして、今日はありがとうございます。ところで、おふたりは親子で茶業に携わっていらっしゃるんでしょうか?

望月瑞歩さん(以降「瑞歩」)
いいえ、私は娘ではなくて嫁です。

望月政治さん(以降「望月」)
私は舅です。後でしっかりとご説明しますが、私たちは、家族でお茶をやっています。せっかくですから、うちの茶畑にご案内しますよ!そこでお話しましょう。

はい、ぜひ!
(車で5分ほど移動)
集落の中にある茶畑なんですね。近くには民家もあり、全くの山の中というわけではないのに、静かでとっても良い雰囲気です。望月さんは、どのようなお茶づくりをされているのでしょうか。

望月
そうですね、お茶づくりと言えば、かつては品評会に出品したこともあります。平成23年に静岡県の品評会で1位と2位を獲得しまして、全品(ぜんぴん。全国茶品評会のこと)にも何度か出品しました。それである程度評価してもらえたし、もういいか、ということになり、JAさんからは次回もぜひと言ってもらえたのですが、その後は出品していません。

対話し、お客主体の茶作りを

瑞歩
品評会で高い評価を得られるようなお茶づくりを経験できたので、それはそれで良かったのですが、私自身はそれよりもっと、自分が大切にしたいことに気づいてしまいまして…。

大切にしたいこととは何ですか?

瑞歩
お客さまに喜んで飲んでもらうことです。やっぱり私は、お客さま主体のお茶づくりをしたいな、と改めて思ったんです。過去に、すごくお茶に詳しい方がSNSで問い合わせしてくださって、「かぶせ(被覆栽培)ですか?」、「自分は露地のお茶が好きで」、などといろいろお話ししてくださったんです。その方のアカウントを見ると、いろいろな茶産地のお茶を飲んでいる、とても熱心な方でした。私と何度もやり取りをした上でうちのお茶を飲んで、「これはすごくおいしい、感動しました!」と言って、本当に気に入ってくださったんです。私もいろいろなお茶を買って飲むんですが、最後はやっぱり、うちのお茶がしっくり来ると感じるんですね。だから、私と同じように、うちのお茶を気に入ってくださったお客さまがいらしたことで、「丁寧に作っていれば、だれかに届く」、そして「ファンになってくれる人たちを大切にしたい」という思いを新たにしました。

家族みんなで故人の思いを継ぐ茶畑

瑞歩
この畑は、亡くなった夫が大切にしていた畑です。

旦那さまは亡くなられたのですか?

瑞歩
はい。消防士と兼業でお茶農家をしていたのですが、仕事帰りに事故に巻き込まれまして…。彼が、更地のような状態だった土地を茶畑にしたんです。

望月
それが私の長男です。いろいろなお茶の関係者に相談しても「(そこに畑を作るのは)大変だからやめた方がいい」と言われたんですが、

瑞歩
それを聞くような人ではないので(笑)。すごく仲間思いだったから、「みんなにここのお茶を飲ませたいな」と常々言っていて、土を整備し、茶の木を植え、何年も頑張って「いよいよ来年は収穫できそう」という年の夏に、急逝してしまいました。この畑は、最初は品評会用にしていたのですが、彼の気持ちを思い出すと、「賞のためのお茶なんだっけ?誰かと繋がりたくて作っていたんじゃなかったっけ?」と自分に問い直し、お客さまに向けて、新たに作り始めたんです。

混じりけのないお茶であるという誇り

望月
お茶屋さんは、「みる芽(柔らかで、出てきたばかりの小さな新芽)がほしい」とよく言うのですが、農家からすると「もう少しだけ、大きくなるまで待った方が」と思ってしまいます。茶に味が乗る前に摘んでしまうのはもったいないじゃないですか。「昔のお茶の味」を懐かしがる人が多いのですが、昔はもっと大きな葉になるまで待って、摘んでいましたから。

茶の葉の最適な、いわゆる、”旬”を捉えることが大切なんでしょうか。

望月
それと肥料。昔の方が、よっぽど肥料は少ないんだけど、山草を敷いていましたから。「茶草場農法」と名が付いていなくても、山の農家は草を敷くことをみんなやっていました。そういう場所のお茶は香りが強かった。

瑞歩
私はブレンドを否定する気は全然ないのですが、自分たちで育てたお茶だから、他と混ぜずに自分たちの味だけで勝負したい、という思いはあります。

望月
私たちが作って直接販売するお茶は、他の産地や茶園と混じりようがない「望月茶園」のお茶。単一農園だからこそ、山のお茶独特の香気や味を感じてもらえると思うんです。飲んでみますか?

ありがとうございます!

後編 独特の香気は「この土地の土がいいから」 に続きます。

本山茶 薫

本山地域は豊かな水と切り立った山々のおかげで、自然に霧のカーテンがかかります。
自然の力を受けたお茶はアミノ酸を豊富に蓄え、天然の玉露のような旨みを育みます。
透き通った黄緑色の水色の奥に感じる清らかな旨みを感じる煎茶です。

・品種
:やぶきた
・クラフト:浅蒸し
・ブレンド:ストレート
・ジャンル:煎茶

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取材・文/朝比奈 綾 撮影/近藤ゆきえ

イチオシポイント

香気のある山のお茶を

静岡市の山間部で茶園を営む望月茶園。細部まで行き届いた丁寧なお茶作りが評判です。味が乗るまで待ってから手摘みする新茶にもそれは表れます。よく熟しているお茶の芽を「ポキンポキンと折ること」が望月さんの毎年の楽しみ。「香気のある山のお茶が自慢です」と瑞歩さんも口を揃えます。「どんなに肥料を上げても、よその土地ではこういう味にならないと思うんです」。瑞歩さんは、一方で若い仲間と烏龍茶や和紅茶作りにも挑戦。商品化一年目から好評を得た理由は、「手を掛け、可愛がって作る緑茶が土台にあってこそ」。惜しみなく愛情をかけられたお茶は、山の香りをまとって手元に届くはずです。

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奥静岡の川露と山岳の恵みのなか育まれた、風味豊かなお茶です。
烏龍茶や和紅茶作りにも挑戦しており、惜しみなく愛情をかけられたお茶は、山の香りをまとって手元に届くはずです。

望月茶園

静岡県静岡市葵区平野145番地

054-293-2051

細部まで行き届いた丁寧なお茶作りが評判です。

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