お茶とは?
- 緑茶と紅茶、烏龍茶。これらのお茶は、同じチャの木から作られていることをご存知でしたか?植物としてのチャの木のことや、製法によるちがいを見てみましょう。
目 次
植物としてのチャ
植物としてのチャは、学名をカメリア・シネンシス Camellia sinensisといい、ツバキ科(Camelliaカメリア)のツバキ属チャ節というグループに属しています。チャは常緑樹で、年間の平均気温が13℃以上、年間降雨量1,300mm以上の比較的温暖な亜熱帯地方に広く分布しています。日本の栽培の北限は秋田県檜山ですが、経済的流通のある北限は、新潟県村上市と茨城県大子町を結ぶあたりだと言われています。チャは中国種とアッサム種の2種類に大別されます。日本語で「お茶しよう」といえば休憩を意味することもあり、その場合の「お茶」には麦茶やハーブティーが含まれることもありますが、このウェブサイトでの「お茶」は、チャ(カメリア・シネンシス)の葉を原料としたものとします。
製法によるお茶の種類
同じ原料としてチャの葉を用いながらも、お茶には製法によってさまざまな種類があります。製造工程で生葉の酸化を止めるタイミングにより、不発酵茶(緑茶)、微・半発酵茶(烏龍茶等)、発酵茶(紅茶)に大別されます。「発酵」ということばを用いますが、麹菌や乳酸菌が活動するいわゆる発酵食品とはちがい、茶の発酵は酸化酵素の働きを止めることです。
不発酵茶 緑茶(煎茶・玉露・抹茶・その他(粉茶・芽茶・茎茶・玄米茶等))
微・半発酵茶 烏龍茶(白・黄色・青 等※)
完全発酵茶 紅茶
※白(白豪銀針、白牡丹等)、黄色(君山銀針、霍山黄芽、蒙頂黄芽等)、青(文山包種、鉄観音、岩茶、凍頂烏龍等)
なお、上記のお茶は植物としては同じチャの葉を原料としますが、生産者はそれぞれの製法に合った品種を選別し、栽培方法を変え、より高品質のお茶になるよう工夫を重ねています。
品種によるお茶の種類
チャにはさまざまな品種があります。煎茶でもっとも多いのは「ヤブキタ」ですが、近年ではさまざまな品種が開発されており、生産地の気候や土壌、また想定する製法(煎茶・深蒸し煎茶・紅茶・烏龍茶等)に合った品種を、摘採時期や収量、品質、耐寒性を鑑みつつ栽植します。
今回の記事で出合った主なチャを数種類、挙げてみます。
●早生(摘採時期が早い)
・摩利支
・さえみどり
・つゆひかり
・さやまかおり
・蒼風
●中生(ヤブキタを基準の摘採時期としています)
・ヤブキタ
・べにふうき
●晩生(摘採時期が遅い)
・おくひかり
・おくみどり
チャにはこの他にも数多くの種類があります。茶農家は、チャの生葉が「茶」という製品に仕上がり、湯に滲出させてから初めて分かる色や味、香りを想定して、苗木を植えるのです。
参考文献/日本茶インストラクター講座テキストⅠ〜Ⅲ、チャローインディア2015 インド即興料理旅行 茶摘み編(イートミー出版)
取材・文/朝比奈 綾 撮影/近藤ゆきえ